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次の表が、資金調達でとるべき優先順位です。
まず、融資・資産売却・知人から調達の方法(以後、「融資等」と表現)をとるか、出資の方法をとるか、いずれかを選択します。
融資等と出資は、それぞれのメリット・デメリットがありますので、表を別にし、融資等の中ではとるべき優先順位を1番から順に書きました。
まずは融資等と出資、どちらを選択するかをそれぞれのメリット・デメリットを踏まえた上で考えます。メリット・デメリットは後述します。
そして出資ではなく融資等の方法を選択した場合に、次の順に優先順位を考えていきます。
この優先順位の理由とその詳細は次章で説明しますが、簡単に述べておくと、次の通りです。
●銀行・政府系金融機関と、ノンバンク
ノンバンクは、銀行・政府系金融機関と比べると、金利が高く、融資を受けられる総額が低くなります。また、ノンバンクから借りることによって企業の信用が落ちるので、銀行を優先します。
●知人からの調達
資金調達には、知人からの調達もありますが、知人が「あなたの会社の事業に投資したい」というような積極的な理由を持たないのであれば、知人から資金を調達するのは、最終手段と考えてください。
あなたの会社の資金繰りを支援するため、つまり救済のためとなるからです。
銀行やノンバンクは、事業として融資業務を行っているため、ある程度の貸倒れは見込んでいますが、知人の場合は自身の貯金を貸してくれるため、もし返せなくなったらその知人は大きな痛手を被ることになり、多大な迷惑をかけてしまうことになります。
●資産売却
資産売却(ファクタリング・固定資産リースバック等)は、持っている資産を、資金調達と引き換えに、外に流出させるものです。
ムダに保有している資産を売却するならまだしも、そうでなければ、資産売却は通常は資金調達の方法の1つとして考えるものとは言えず、銀行や政府系金融機関から融資が受けられない時にやむをえずとる手段として考えます。
●プロパー融資
銀行において、プロパー融資と、信用保証協会保証付融資・ノンバンク保証付融資では、審査はプロパー融資のほうが厳しいです。
業績や財務内容が悪化するなどで審査を通すことが難しくなり、プロパー融資が受けられなくなった時に信用保証協会保証付融資・ノンバンク保証付融資を考えたいです。
プロパー融資には金額の上限がありませんが、信用保証協会保証付融資・ノンバンク保証付融資には金額の上限、つまり借入れの枠があり、それを将来に備えて空けておきたいものです。
●政府系金融機関
政府系金融機関は、民間金融機関である銀行を補完する位置づけです。また融資審査は政府系金融機関に比べて銀行のプロパー融資のほうが厳しく、銀行のプロパー融資が可能ならそれで融資を受けるようにします。
銀行のプロパー融資が受けられない時に、信用保証協会保証付融資や政府系金融機関での融資を考えます。政府系金融機関にも、融資金額の上限があります。
●銀行のノンバンク保証付融資
銀行のノンバンク保証付融資は、銀行の融資にノンバンクが保証会社としてついてくれるものを言います。
最近はこの形の融資も増えてきましたが、銀行からの融資は、依然、プロパー融資と信用保証協会保証付融資が主流です。
信用保証協会保証付融資で借りられるならノンバンク保証付融資を使う必要はありません。
ただ、信用保証協会保証付融資には金額の上限があり、その借入枠を補完するものとしてノンバンク保証付融資を考えたいです。
またノンバンク保証付融資は、そのノンバンクが、融資を受けようとする会社の代表者の個人信用情報を見るため、信用情報に傷がある代表者の場合、ノンバンクの保証審査が通らず融資が受けられず、融資を申し込んだ銀行に、ノンバンクの保証審査が通らなかった理由を探られるのも嫌なところです。
ちなみに銀行のプロパー融資や信用保証協会保証付融資では、代表者の個人信用情報を見られることは少ないです。
少ないだけで、全く見られないわけでもありません。
3−2 融資での資金調達のメリット・デメリット
前項では融資等と出資は別に考え、出資の方法をとらずに融資等の方法をとる場合、優先順位としてどのように考えていくべきかを述べました。ここと次項では、融資と出資では、どちらを選択すべきなのか、それぞれのメリット・デメリットを述べます。
融資を行う資金の出し手として代表的なのは銀行ですので、銀行からの融資を考えてみます。
◆(1)融資のメリット
融資での資金調達には次の3つのメリットがあります。
@融資をしても資金の出し手が株主になるわけではないので、経営権を握られない
A財務内容や業績に問題なければ銀行からの融資は難なく受けられる
B銀行との関係を築き、またよい経営実績を作ることができれば、多くの融資を受けられるようになる
@融資をしても資金の出し手が株主になるわけではないので、経営権を握られない
融資と出資を比べた場合、一番の違いは、経営権が関わってくるかどうか、です。
出資とは、出資者に株主となってもらうことです。多くの金額を出資してもらうことにより多くの株式を出資者に保有されると、経営権を握られてしまうことになりかねません。
50%を超える株式を保有されれば、その出資者が経営権を握ることになります。
また50%を超えなくても多くの株式を保有されることになれば、経営にいろいろ口出しされやすくなり、経営者が自由に経営しづらくなります。言わば、自分の会社ではなくなってくる、ということです。
その点、融資は、融資を実行した銀行が株主となるわけではないので、経営権を握られることも、経営に口出しをされることも少ないです。
ただ、その会社への融資総額が大きい銀行や、返済が厳しくなりリスケジュール(返済金額の減額・猶予)を行ってくれている銀行からは、株主としてではなく債権者として経営に口出しされることがあります。
A財務内容や業績に問題なければ、銀行からの融資は難なく受けられる
中小企業にとっては出資による資金調達よりも、融資による資金調達のほうがずっと一般的です。
融資には審査がありますが、銀行は1社でも多くの会社に融資をしたいと思っています。決算書や試算表からわかる財務内容に問題がなければ、融資を受けられる可能性は高いのです。
融資を行った銀行は、その後の返済により資金を回収し、利息をとることによって収益を得ます。
そのため融資審査で一番見られるのは企業の返済能力です。財務内容や業績に問題がなければ返済能力はあると見られ、融資は受けられます。
一方で出資は、出資者は出資後の株式上場もしくは株式の高い金額での売却により出資金を回収もしくは収益を得ます。そのため出資者は、上場の見込みがある会社なのか、もしくは他者へ高い金額で株式を売却できる将来が見える会社なのか、を見てきます。
また株式上場や株式の他者への売却は、中小企業では一般的に行われているとは言えません。そのため出資者は、出資するかどうかをじっくり検討することになります。
例えばベンチャーキャピタルは、100社から話が来たらそのうち1〜3社しか出資しないと言います。
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